就職氷河期の危機感がIT業界へ進むきっかけに
出身は広島県で、瀬戸内海に浮かぶ離島で育ちました。海と山に囲まれた環境で生活をしていたために空への強い憧れがあり、将来は航空関係の仕事に就きたいと考えていました。しかし、当時は就職氷河期の真っ只中で、毎日就職が困難であるような内容の報道を目にしており、そこで一度考えを整理し、卒業後の就職率100%と言われていた商船高専への進学を決めます。
高専では電子制御工学を専攻。卒業研究では地元密着の研究をする教授の下で、地元の方と連携した野生鳥獣による農作物被害への対策について取り組みました。センサーを使用した檻の自動開閉、捕獲状況の遠隔監視(通知)する機構を電子回路から設計・作成し、簡易な農業のIoT化を実現しました。また部活動では漕艇部に入部し、14人乗りのカッターボート競技に5年間打ち込みます。身体的にも精神的にも非常にきつい競技ではありましたが、仲間にも恵まれ最後は主将まで務め上げました。体力や筋力だけでなく、精神力やチームのマネジメントなど、部活動を通して学び鍛えられたことは多くあったと思います。
高専で電気や電子を学ぶうちに、ITインフラに興味を持ち、高専4年生の時には主に無線通信を運用保守する大手キャリアのインターンシップに参加しました。とても楽しく実りある経験ができたため、そのまま入社しようと思っていましたが、家が近所で同じ学校に通っていた先輩がNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)グループのリクルーターとして来校し、その話を聞いてから考えが変わりました。「同じインフラに関わるならば、もっと大規模な通信インフラに携わりたい」という思いが強くなり、NTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)への入社を決めます。
多様な部署をわたり歩きキャリアと人脈を築く
初期配属はNTT Comの法人向け国内ネットワークサービスの故障受付を担当し、1年も経たないうちに、特殊な顧客対応を行う担当へ異動になりました。特に印象に残っているのは、お客さまとNTTが合同で実施している故障復旧演習に参加したときのことです。
営業担当とともに、初めてお客さまの拠点を訪ねたのですが、「NTTが実施している調査や試験について解説してほしい」という無茶振りが飛んできました。現地のお客さまがホワイトボードを運んできて、ノートを持った十数名の方に囲まれて説明することになったのですが、幸いなことに「非常に分かりやすかった」「これまで理解できなかったことの詳細や、調査依頼をしてから回答があるまでに何をしているのかよく分かった」と好評だったのです。リップサービスだとは思いますが、「うちに転職しませんか(笑)」とまで言われて、忘れられない経験になりました。一方でネットワークインフラを支える仕事の重要性とやりがい、責任の重さを再認識した出来事でした。
その後、専用線系サービスの支援として初期配属の担当に戻り、さらに2年後にはサービスの保守運用設計の業務を経て、労働組合の活動にも携わることになります。もともと職場の先輩の下で組合活動のお手伝いをしていたのですが、実際に活動すると、社員と会社の関係や新たな制度が導入されるまでの過程などが分かり、さらに人脈も広がるなど、非常に良い経験となりました。
組合活動を経験した後、現在は主に国内ネットワークサービスの原因不明なトラブルへの対応や技術支援を行うTOCレスキュー担当に所属しています。通常の保守対応では原因が判明しない、解決できない案件に対し、多様な機器を使用した調査・解析で原因を突き止め、解決へと導きます。幅広い知識やスキル求められるため、日々勉強しながら業務に取り組んでいます。そのような中、2022年1月から7カ月間はドコモグループの組織再編の準備に向けて、事業推進部で全社事業対策や経営課題の対応を兼務しました。いろいろなご縁があり多様な業務を経験させていただいていますが、基本的にお願いされると断れない性分のようです(笑)。
コミュニケーション活性化を目指す">
誰からも頼られる包容力で
コミュニケーション活性化を目指す
これまでコムエンジのさまざまな現場を経験してきましたが、どの現場でも親切な方が多かったという印象です。「未来ワーキング」のようなユニークな施策もあり、新しいことに挑戦できる環境が整っていると感じています。未来ワーキングの1次メンバーの方は、これまでの業務を通じて顔見知りの方が多く、そのご縁で声をかけていただき、私は2次メンバーから活動に参加をしています。2次メンバーも8割程は面識がある方で、多くの部署を渡り歩いた経験や、そこで身に付けたコミュニケーションスキルが役立っていると思います。
未来ワーキングで、さまざまスキルを持つメンバーと意見を出し合い論議するのは、とても刺激的です。所属部署や勤務年数を越えた、幅広い交友関係を築くことができることも大きなメリットだと感じています。また、社員からボトムアップで経営層に提案ができるような仕組みはとても新鮮で、大きなモチベーションを感じながら取り組んでいます。
現在はDXサブワーキングのメンバーとして、コムエンジに点在するナレッジを見える化し、組織横断的なコミュニケーションを活性化するナレッジポータルの作成検討に携わっています。その他のサブワーキングでは、リモートワークが中心となる現在の新たなワークスタイルを構築するといった取り組みも進んでおり、将来的に実現ができたら、広島やその他の地域で仕事をするのもいいかもしれないと考えています。
個人的な展望としては、これからの通信を支える設備的な基盤の設計や構築を突き詰めていき、通信基盤のプロフェッショナルとなることを目指していきたいと思っています。クラウドやアプリケーションといった上位のレイヤだけではなく、土台をしっかりと支える物理的な設備の知識やスキルを極めたいと思っています。
漕艇部の顧問が言っていた、ドイツの詩人・ヴィルヘルム・ミュラーの名言「機会を待て。だが決して時を待つな」が座右の銘です。漫然と時間を過ごさず、常に機会に備えて待ち続けることが、有意義な人生を送り、楽しく仕事をする秘訣なのではと思い、この言葉を胸に刻んでいます。
OFF TIME
バイクを所持しているので、関東近郊を中心にご当地グルメ(主にラーメン)を巡っています。先日大型に乗り換えました! スポーツも好きで最近はゴルフに注力し、スコアの短縮を目指してコツコツ頑張っています。コロナ禍で在宅の機会も増えたので、レシピ本やサイトを見ながら、日々の料理を楽しんでいます。
PROFILE
望月 遥澄
2013年、NTTコムエンジニアリングに入社。通信基盤の設計・運用保守業務を中心に、さまざまな部署でキャリアを積み重ね、人脈を築き、コミュニケーションスキルを磨く。誰からでも頼りにされる包容力の持ち主。通信基盤のプロフェッショナルを目指している。