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近藤 昌史

EXPERT

起業経験を持つ“改善のプロ”が描く
攻撃的プッシュ型ビジネスの設計図

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    複業から起業へ、20代で叩き上げた仕事力

    社会人のスタートは大手飲料メーカーで、営業とルート配送を担当していました。もともと独立志向が強く、1日6トンの飲料を積み下ろすハードな配送の傍ら、夜は宅配ピザのバイトをして資金を貯めていました。いまで言う複業ですね。その後、バイトを宅配ピザから空調会社に切り替え、そのノウハウを生かし25歳で空調会社を起業しました。起業当初は順調でしたが、体調を崩してしまい入院。事業が回らなくなり、会社を畳んだのが30歳のころです。

    当時、よく会社にWebサイト制作の営業が訪ねてきて、随分と料金が高額だなと感じていました。事業も軌道に乗っているし、いっそのこと自分でやってみようと思い立ち、HTML、Java、CGIのプログラムを独学で習得しました。その経験を生かし、大手通信キャリアの子会社に入社しました。昔、話題になった駅前で無料のADSLモデムを配る仕事です。私は地方開拓の販促リーダーを担当。ある程度普及すればその業務は終了ということで、3年ほど携わりました。

    その後、新天地を求めプログラムの知識やリーダーの経験を生かせる仕事を探していたところ、縁あってNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)で働くことになりました。業務プロセスを改善できる人材という求人で、自分に向いていると感じたのです。入社後は業務プロセスの改善一筋。HTML、Java、CGIによるWebサイトの構築・改善に始まり、ツール開発のリーダー就任後はAccess、VBなどを使った業務改善ツールを開発しました。その後、いろいろな機会をいただき、現在はNTTコムエンジニアリング(以下、コムエンジ)の社員として、NTT Comの基幹システムの開発に携わっています。

    “待つ”のではなく“攻める”、改善ビジネスの転換点

    現在、コムエンジでNTT Comの基幹システム開発のプロジェクトマネージャーを務めていますが、うちのチームはコムエンジ内でも異色と言いますか、非常にユニークな特徴があります。エンジニア集団であるコムエンジでは、NTT Comなどのお客さまからの依頼を受けたシステム・ネットワーク構築や運用保守、撤去などの仕事が収益の大半を占めています。いわばオーダーを受けて動く「プル型」のビジネスモデルですが、私たちのチームは積極的にお客さまに改善提案を行う「プッシュ型」のビジネスを展開しています。このようなチームが生まれるには、大きな転換点がありました。

    そもそものきっかけはNTT Com時代の上司が、ある相談を受けたことに始まります。当時NTT Comは札幌、名古屋、金沢といった日本全国のセンターに業務を外部委託していました。その業務を巻き取ってコムエンジの内製に切り替えたいという相談が昔の上司にあったのです。内製に向けて、業務改善案を提案してほしいという話でした。それならば適任がいると、昔の上司が私を強く推してくれたのです。

    大任を受けて最初に取り組んだことは、全国のセンターを回り業務課題を把握することでした。そこから業務のあるべき姿を描き、課題を解決するための改善策を毎月のように提案し続けました。これらの仕事が評価され、その後に行ったシステム導入提案について、数千万の予算で自由に作ってみろという流れになったのですが、私にとって、システム開発は初めてのチャレンジでした。現在のようにRPAが普及していませんでしたが、あえて業務プロセス管理と処理の自動化にRPAを組み込んだアーキテクチャを導入したシステムを構築します。現在はこのアーキテクチャは主流ではなくなっていますが、これが好評を得て、噂を聞きつけたNTT Comの各部署から仕事が舞い込むようになり、いまに至っています。

    私たちのチームは傘下にベンダーを持たない完全内製で、すべて自前でシステム開発・維持・運用をしています。そのため、他のNTTグループに比べて約半分のコストで構築、運用保守ができる強みがあります。しかもチーム内で蓄積した構築・運用の経験を生かしてパッケージ化し、外部の企業にも広くセールスする計画もあります。おかげで十数人だったチームメンバーが、2年で50人近くに急増し、いまでは国際色豊かなメンバーからなる大所帯に成長しました。

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    新たな矢を放ち、コム無料 スロット マシン ゲームの事業を骨太にする

    新たな矢を放ち、コムエンジの事業を骨太にする

    直近では、NTT Comの旧システムに接続する回線をマイグレーションする大規模プロジェクトが進んでいます。最初のオーダーはデータが取れればいいというものでしたが、さらに踏み込んで、どれだけの回線を置き換えたのかという進捗や必要なコストを含めて「見える化」する仕組みを提案しました。これも各所で話題になり、装置系を扱うネットワーク部門から、装置の「見える化」の依頼を受けています。

    大きなチャレンジをクリアして、新たなビジネスモデルを生み出せた背景にはコムエンジの社風も影響しています。新たなチャレンジを後押ししてくれる風土があり、たとえ失敗しても挑戦する姿勢が評価され、叱責されるようなことはありません。次は頑張れと応援し、サポートしてくれる挑戦しやすい環境だと思います。

    こちらが先回りして提案するプッシュ型のビジネスモデルを伸ばしていくためには、後進の育成も重要です。ここが少々悩ましいところで、チームが手がける仕事は多岐にわたるため、メンバーの得手不得手を見極め、プロジェクト担当、改善担当、契約担当といったように仕事を切り分けて引き継ぐことを心掛けています。

    コムエンジでは、収益の多くをNTT Comからの委託に頼っているのが現状です。このままではコムエンジの事業が骨太に育っていきません。NTT Comとは別の軸で、自立した収益の仕組みをつくる変革が必要だと考えています。私たちのチームのような自前で業務を視察し、業務を改善してシステムを開発する一連の流れは幅広いお客さまにも通用するモデルです。今後、新規事業開拓の部門が立ち上がるようなことになれば、私もその一員となってコムエンジの成長に貢献していきたいですね。

    複業から起業、そして廃業からはい上がってきた人間として、私はしぶといです(笑)。何度跳ね返されても、期限やコストを詰められても、絶対に諦めません。座右の銘は「有言実行」。きちんと宣言してリスクを背負う。負うリスクは大きく、ハードルは高いほどいい。誰にでもできることを宣言しても仕方ないし、私のチームにしかできないことに挑戦し続けたいですね。

    OFF TIME
    プライベートではチームメンバーと釣りやキャンプに出かけるなど、活発な交流を図っています。自宅で開くホームパーティには、チームメンバーのほとんどが参加します。近藤家秘伝、10年がかりで作り上げたラー油を使って仕上げるメニューが好評です。

    近藤 昌史

    PROFILE

    近藤 昌史

    2009年にNTTコムエンジニアリングに入社。現在はNTT Comや社内の業務プロセス改善に向けたコンサルティングから、現場の視察、課題抽出、改善提案、システム開発、構築、運用保守までを一手に担うチームをプロジェクトマネージャーとして統括している。チームメンバーとは公私ともに深い信頼関係で結ばれている。

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